1984年製、プリ・クレイマー期のものと思われる NS-2。
歴戦の猛者を思わせるようなヴィンテージ・ルックで、使用感の無い部分が一切ありません!
指板材などは、塗膜のある部分がなければパーフェローだと分からないほど真っ黒です。もともとラッカーのグロス・フィニッシュであったようで、そこかしこウェザーチェックによる細かいヒビがみられます。ネック裏面なども同様ですが、プレイヤビリティに大きな影響はなさそうです。
ボディ材はウォルナットや様々な杢の出たメイプル材が有名ですが、本機はチェリー材だと思われます。プレーンで品のある見た目です。良い音の予感しかしませんね。
フレットはオリジナルに見えなくもないですが、楽器にこれだけ外観に使用感があるので、状況上打ち替えられている可能性が高いと思われます。現状演奏性に問題はありません。ブラスのナットはオリジナルだと思われますが、何か薄い素材で上底してあります。トラス・ロッドは問題なく機能します。
電装ですが、EMG + HAZ Lab 製ですが、歴戦の猛者らしく、修理等の痕跡が見られます。バランサー・ポットは交換されています。本来は基板に直付けだった為、ポットの部分を切り欠いて、ボディに直接マウントされています。オペアンプICはテキサス・インストゥルメンツ社製ですが、ソケットも含めてオリジナルでは無い可能性があります。また出力あたりにある半固定も後付けでしょう。いずれも実用を考慮されたものであり、特に内容がスポイルされるとは考えにくいと思われます。ブリッジ寄りのストラップ・ボタンは交換されています。
80年代を代表するような芯のある骨太な音色であり、多様多彩なバリエーションを有しています。今となってはシンプルにすら感じる操作系も素晴らしいです。
翌1985年にクレイマー社に買収される訳ですが、ハンドメイド黎明期と比較して慣熟期であり、最も完成度の高い時期の NS-2 という事が出来そうです。

オリジナル・ハード・ケース付属。