B.C.Rich BICH 8st Bass
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ベース
1979年製 と思われる ダーク・ブルー・パールの ビッチ 8st ベース、御委託品です。当時の B.C.Rich の最高峰のベースになります。シーガル、イーグル、モッキンバードと、それまでは鳥の名前がついていた B.C.Rich のギター/ベースにおいて、いきなり「ビッチ」です…。もしやそういう名前の鳥がいやしないかと、辞書を引いた思い出があります(笑)。その理由は、設計者が創業者の バーニー・リコ ではなく、ニール・モーザーという人で、彼はこの複雑なエレクトロニクスをデザインした人でもありますが、命名も彼によるものだからです。何と彼の妻の愛称が "Bitch" だったというのが由来だそうで、半ば信じ難いのですが、アメリカのスラングではそういうこともあるようです。ただし公には響きがあまりにも悪いので "t" を取り去って "Bich" とされました。発表当初は "Rich Bich" と表記されていました。
オリジナルは 1~4弦までが複弦付の10弦ギターですが、ベースにリデザインするにあたってはショート・スケールの8弦になりました。ペグのレイアウト的にピッタリ収まった良いデザインです。
ニール・モザーは、1985年まで B.C.Rich 在籍し、アッセンブルと品質管理等を担当していたそうです。黄金期の B.C.Rich は寧ろ彼によって支えられていたといえるでしょう。
本機はボディ表面をよくみると ピックアップのルーティングを埋めた痕があります。しかし、どう考えてもリフィニッシュとは考えられず、製作途中で やり直されたようです。憶測ですがスケールの計算を間違えて一旦開けてしまったものと思われます。ネット等で調べてみると同様の個体を複数見つけたので、リフィニッシュ説は杞憂であるみて良いでしょう。現状のコンディションはすこぶる良好で、8弦という強烈なテンションによく47年も耐えているものだと感心させられてしまうほど、ネックは何の問題もありません。むしろ良好な演奏性に驚かされますが、考えてみればこの時期の B.C.Rich は、10弦ギターや8弦ベースを沢山作っていた訳で、勘所を掴んでいたものと思われます。さすがの出来栄えです。それなりに傷やくすみは見られますが、年式を考慮すれば、それなりの美品で、ヴィンテージ B.C.Rich としては、相当な良個体です。ボディ先端には立てかける為の「足」がついているのですが、片側が欠品しています。先端の塗装剥がれから、ボディ材はマホガニーと考えられます。
複雑で特徴的な電装系ですが、入荷時、本来の機能を失っていました。オーナー様に確認したのですが、購入時からこうで、特に手は入れていないとの事でした。二つのブースターが機能しておらず、スイッチを入れると「バツン」と大きなクリックノイズを発するような始末で、実質パッシブでしか使えないような状態でした。
折角の良個体なのに勿体無いので、きちんと直す事にしました。オリジナルの回路図をネットから入手、見比べてみると配線自体がかなりおかしな事になっていました。ニール・モザーの回路はちょっと癖があり、にわか知識の修理ではかえって変になってしまうようです。結果配線だけでなく、不良のトランジスタは同型を入手し交換、コンデンサも一つ交換。Fumi Sound の遠藤さんにもお知恵を拝借しながら電装系を完全に修理しました。当店の歪まないアコースティック楽器用の試奏アンプが、バリバリに歪むようになりました(笑)。「クリーンじゃないブースター」です。おそらく既にブースター回路内で歪んでいそうです。1,2,1+2 の3段階でブースト出来、その際の音色調整にバリトーンSWがとても使いやすいです。頭さえ整理できれば、とても使い勝手の良いサーキットであることが分かり、とても練られた構成です。ディマジオのPUが、楽器からそれはそれは多様なトーンを引き出してくれます。
この最高峰モデルで B.C.Rich が、何故レジェンダリーな楽器になったのかを 理解できます。
まさに伝説を垣間見れる一本。
やや難ありですが、クレイマーハード・ケース付属