メーカーページURL にある FACTOR BASS で有名なクビキ。85年に発表されたこの楽器は、ジョン・テイラーやスティワート・ハムの使用で有名になり、80〜90年代に人気のブランドとなりました。一時期製造はフェンダー・カスタムショップが担い、フェンダーの販売チャンネルで流通していたこともあるのですが、当時はその経緯を知る日本人は少なく、謎めいておりました。実はクビキ氏はフェンダーの「中の人」だったのです。
クビキ氏は、64年から73年まで、フェンダー社に勤務しており、60年代後半のフェンダー製品の中心的デザイナー、ロジャー・ロスマイルズのアシスタントを務めました。主にアコースティックやセミアコに、その知見が発揮され、テレキャスター・シンラインなどが彼が開発に関わった代表的な製品となりました。
73年にフェンダー退社後、ジョニ・ミッチェルの為にアコースティック・ギターを製作したり、フェンダーと互換のあるボディ、ネックを販売したりしていました。今日でいうところのコンポーネント・ギターのはしりですね。シェクターやシャーベル、ブギー・ボディといった新興メーカーと共にシーンを盛り上げていたわけです。
カリフォルニアっぽいですね。あの頃は若かった…って感じです。

本機はそんな折に製作されたジャズベースで、ボディやネックに、スタンプが押されています。マーキングから82年製と推察されます。PU はディマジオ、ボリュームポットはプッシュ/プルSW付ですが、現在配線されていません。リー・スクラーが言う所の「プロデューサーSW」状態です。アルダー・ボディは味わい深いサンバースト。
ロッド調整に難ありでしたが、多少手を加えて回せるようになりました。ただ矯正範囲は狭く、1mm 程度の弦高は厳しいです。1.5mm~2.3mm くらいの弦高なら大丈夫ですが、そういう意味では B に近い B+ といった感じです。

薄いソフトケース付属。