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Gibson Victory Standard

販売価格(税込):
248,001
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ベース
1981年、サンダーバード・ベースに替わる新たな刺客として、フェンダー・プレシジョン・ベースの市場から完全「勝利」する為に、満を持して登場したのがコチラ、その名も「ヴィクトリー・ベース」です。本機はその初年度のパッシブ・サーキットのバージョンである「スタンダード」です。
つい先日当店で扱った略奪者「マローダー」と同様、ギブソンの「勇足ネーミング」シリーズですね(笑)。ボディ/ネックの開発者は Chuck Burge と言われています。水平基調でデザインされたと思われるシェイプは、なるほどサンダーバードの流れを汲むもので、そこに最大のライバルであるフェンダー・プレシジョン・ベースの要素を組み込み、再構成しています。その際にアドバンテージとして24フレット仕様、PUの 直列/並列 切替スイッチを搭載し、差をつけました。これらの創意工夫により完全勝利は目前と思われていました。
しかし80年代前半は HR/HM を背景に、スペクターやスタインバーガー等の第三極が台頭して来たこともあり、あえなく撃沈。勝利の美酒に酔う事は一度もありませんでした。

面白おかしく機種のあらましを書いてしまいましたが、事実、狙いは良かったと思われます。全体的に80年代前半はギブソンにはやや不利な空気であったように思います。メイプル・ボディ、24フレット等は、トレンドを掴んでいましたし、シンプルで多様な電装も同様です。ツキが無かったのでしょうな…そういうこともあります。
それと独シャーラーにカスタムで作らせた「TRI-4」ブリッジも見どころになっています。現在もあるシャーラーの市販型「3D4」と比べて、わざわざ複雑に、楔が打ち込まれるように弦高が上がっていく謎機構が搭載されていますが、何気に弦ごと個別に弦高とイントネーションが調整できる、ギブソン初めてのブリッジであろうかと思います。重い、亜鉛の鋳造ブリッジも当時のトレンドでありましたし、音色にも貢献したと思われます。
その音色は基音が多めの芯のあるしっかりとしたトーンで、ギブソンの伝統に80年代らしさが加わった、まさにコンセプト通りになっています。巡り合わせさえ良かったら本当に天下取れていたかもしれません。パワフルなシリーズ接続だけでなく、硬質なハムバッキング・サウンドの並列接続でも、5kgオーバーの楽器らしく、ゴリっとした重量感のある音に仕上がっています。

個体は塗装側面、ネックジョイント付近の劣化が激しく、もはやトップコートは無く、カラー層が剥き出しになっています。またメイプル・ボディのラミネート部分の表面が一部割れています。剥がれる事はないでしょうが、気になる部分です。
また、鋳造のブリッジあるあるですが、弦のテンションにより、ベース・プレートに反りが生じ、少し浮いています。
ネックの状態等は年式なりにまずまずなのですが、どの弦のブリッジ・サドルを一番低くセッティングしても弦高が十分に低くならず、テクニカルなプレイヤーには弾きにくいかもしれません。
ポテンシャルは決して低くない楽器ですが、こうした部分に取りこぼしがあったと言えるのでしょう。「勝利」を飾るにはプレイやビリティの面でやや弱点があったようです。
ただし少しお金を掛けたら化ける可能性を感じさせる一本です。悲願の40年越しの勝利を目指してみてはいかがでしょうか。

オリジナルのハードケースが付属します。
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